共有持ち分とは?買取や売却の注意点
マンションの売却を検討している方の中には、「物件の一部だけを相続した」「家族と共有名義になっている」といった事情をお持ちの方も多いのではないでしょうか。こうしたケースで避けて通れないのが「共有持ち分」という概念です。本記事では、共有持ち分の仕組みや種類、売却時の注意点、成功のポイントまで、専門的な知識をわかりやすく解説します。
共有持ち分とは?基本的な仕組みを解説
共有持ち分とは何か?
共有持ち分とは、ひとつの不動産を複数人で共有している状態を指します。それぞれの所有者は、登記簿上に定められた「割合(持ち分)」に応じた権利を有しており、共同でその物件を所有している形になります。
たとえば、あるマンションを兄妹で相続した場合、兄50%、妹50%というように、各自が持つ「共有持ち分」が登記に記されます。
どんなときに共有持ち分が生まれるのか
共有持ち分が生じるのは、主に以下のようなケースです。
- 不動産の相続(親のマンションを子どもたちが共有で相続した場合)
- 複数人による共同購入
- 離婚時の財産分与後に共有が続くケース
「持ち分割合」とは?不動産の権利を数値化したもの
「持ち分割合」とは、共有者それぞれが持つ権利の“比率”を意味します。たとえば、1,000万円のマンションを夫婦で半額ずつ出資した場合、それぞれ500万円ずつ、つまり持ち分50%ずつとなります。
共有持ち分の種類と考え方
法定相続分による持ち分
相続が発生した場合、民法の規定に基づいて自動的に持ち分が決まるのが「法定相続分」です。たとえば、配偶者と子1人が法定相続人であれば、持ち分は各人で2分の1ずつとなります。
任意の割合での共有(出資比率など)
一方、出資額に応じて任意に割合を決定できるのが「任意の共有」です。これは購入時に合意した持ち分比率を登記で明確にすることにより成立します。
区分所有との違いにも注意
「共有」と「区分所有」は混同されがちですが異なります。区分所有はマンションなどの各専有部分を個別に所有し、共有部分(廊下・エレベーターなど)を全体で保有する仕組みです。一方で「共有持ち分」は、不動産そのものを複数人で共有する状態で、専有の区切りがありません。
共有持ち分の売却はできる?
自分の持ち分だけを売ることは可能
法律上、共有者の一人が自分の持ち分だけを売却することは可能です。ただし、物件全体を売る場合とは異なり、制約や注意点がいくつかあります。
売却の自由と制限
共有持ち分の売却には他の共有者の同意は不要ですが、現実には売却後の関係性や、購入者が限られる点から、現実的には自分の持ち分だけを売却することは難しいのが現状です。
共有状態の不動産売却が難しい理由
全員の合意が必要なケースとは?
物件全体を売却する場合は、共有者全員の合意が必要です。一人でも反対すると売却は進まず、時間と労力がかかります。
トラブルの代表例
- 一部の共有者が売却に応じない
- 居住者が退去に同意しない
- 売却金額の配分で揉める
このような問題が発生することで、売却活動自体が停滞してしまうことがあります。
価格評価が難しい
共有持ち分だけの売却は、不動産としての利用価値が限定されるため、価格が下がることが一般的です。
共有持ち分を売却する3つの方法
共有者に売る
最もスムーズなのは、他の共有者に売却する方法です。お互いの信頼関係があるため、価格交渉も比較的進めやすいと言えます。
第三者に売る
共有持ち分だけを第三者に売却する場合は、利用が制限されるため難しいのが現状です。
共有物分割請求(裁判所による解決)
話し合いで解決しない場合は、裁判所に「共有物分割請求」を行うことで、強制的に解消することも可能です。ただし、費用と時間がかかります。
共有持ち分の売却で注意すべきポイント
共有者との関係を整理する
まずは共有者との話し合いが重要です。協力が得られるかどうかで売却の難易度が大きく変わります。
税金や登記の手続きも発生する
持ち分を売却すると譲渡所得税や登録免許税などの税金が発生します。税理士や司法書士と連携して進めるのが安心です。